四十九日法要

6月26日。

実家で朝早く起きる。

先月83歳で亡くなった母の四十九日法要だ。

ゆっくりと遺影に手を合わせる。

9時半に姉が車で迎えにきて、家族でお寺へと向かう。

 

10時から法要が始まる。

先月の葬儀以来久しぶりに住職に会い、お布施を渡してご挨拶をする。

寺院のなかに家族で座った。

読経は般若心経から。

 

住職の読経が続く中、突然雨が降りだした。

「ゴオッ」という音がして、思わず外を見るとかなりの大雨だ。

祭壇には龍の絵が描かれていた。

僕は雨の中、龍が雲の間をつたって空へ上っていく図を想像した。

 

その龍はきっと母の御霊をていねいに抱いて、天へと運んでくれるのだろう。

 

「母を、お願いします」僕は、そっと手を合わせた。

大雨はやがておさまった。母の魂が無事に極楽へと着いたようだ。

 

約40分の読経が終わり、家族が順番に焼香をする。

僕は最初の番だった。

心の中で「お母さん、おつかれさまでした。空の上で、どうぞごゆっくりお過ごしください」と唱えた。

そのあと家族のみんなが合掌した。

 

最後に住職がお話をされた。

「亡くなったかたのためにも一日一日を大切に生きましょう」

その言葉をこころに刻んでお寺の外に出た。

「不思議やねえ」と姉。

「お母さんも、最後に同じことを言っとったんよ。『一日一日が大事』って」

 

外で家族写真を撮った。

「皆さんこっちを向いてください」

住職がスマホのシャッターを押すとき。

僕は青空の向こうを見上げた。

 

ありがとう、お母さん。

 

 
 
 
 
 
View this post on Instagram
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by Keizo Mezaki (@ibiru)

www.instagram.com